監督署ができる事、出来ない事
さて、監督署においては、行政の機関である以上、できる事と出来ない事が有ります。
多いのが、
「不当解雇されたから、監督署に訴える」という事に対してです。
①不当解雇
これに関しては、解雇が不当であると決定できるのは、当事者どうしで確認し認めるか、裁判所の判断になります。片方が一方的にこれを主張しても、何の効果もありません。決め付ける事も出来ません。
こういった「当事者双方での合意」や「裁判所の判断を仰ぐ」様な事案を「民事」の問題と言います。これに関して、行政の機関である労働基準監督署は、何の権限もありません。
そういうと、「役に立たない」とか「なんでも出来ないという」と言って不満に思う方もいらっしゃいますが、これは致し方ない事なんです。
大きな話になってしまいますが、日本は、立法(国会)、行政(政府、各省庁もここに入ります。)、司法(裁判所)は、互いに干渉せず、その業務の区分を重複する事は有りません。
民事において、「不当解雇である」という判断を下すのは、司法の権限であり、行政はそれが出来ません。なので、「民事不介入」という事になるわけです。
②監督署に訴える
これは上記に書いた通り、何の権限もないところに「訴える」事は出来ないという事になります。もちろん相談に乗る事は出来るでしょうが、それに基づいて相手側に何かを強制させることは出来ません。
「残業代が払われていないので、払わせてほしい」という事に対して
法定の残業代が支払われていないことに関しては、監督署の監督官が指導権限を持っています。逮捕権も有ります。しかし、実は支払っていない残業代を支払わせる・・・という事に関しては、強制力を持っていません。
法律違反を解消させるためという事で、支払いに関して勧告はしますが、強制的に支払わせることは出来ないんです。
これも、上記の通り、賃金の支払というのは「個人対会社の」「債権」に関する問題です。そうなると、これに対して強制的に支払わせる権限を持っているのはやはり、裁判所のみ。
もちろん、取り立て屋等、違法やグレーゾーンのお話は無しにしてですよ(^_^;)
と、こんなところが誤解を受けやすいところでしょうか