就業規則の不思議 2

さて、2回目の不思議は・・・

10人未満の事業所には就業規則なんて必要ない?

法律(労働基準法)的には、その通りとなります。10人未満の事業所に就業規則の作成・届出の義務はありません。
しかし、法的に必要ないと言うだけで、本当に不必要なんでしょうか。

「だって、法律でそうなっているんだから、わざわざ作る必要ないのでは?」

確かに。
面倒ですよね。残業の計算から年次有給休暇まで書いてあるし、出来ればそっとしておきたい話題ですよね・・・。

じゃあ、なんで法律で10人以上の事業所に就業規則の作成・届出が義務づけられているんでしょう。

ここからは、あくまでも私の私見も交えてのお話になるのですが、

・労働基準法は、労働条件の下限を決めたもの

       ↓
・労働者にとって有利になる場合が多い

       ↓
・就業規則の作成が、労働者にとって有利になる?

というのが一般的な見方です。そして、それは間違ってはいないと考えます。

では、逆に、何故10人未満の事業所には義務になっていないんでしょう?

・小規模なので負担になるため。
・労働関係が単純なため
・事業主が可哀想だから

色んな事が考えられるでしょう。
そして、それは正解に近いと思います。

しかしです!!

本当にそれだけでしょうか?

実は、10人未満の事業所等にとって、就業規則は非常にメリットのあるものなんです。

いくつか掲げてみます。

1.会社内の意思統一が出来る。
 小規模組織の場合、きちんとした管理体制が整っていない場合が殆どです。就業規則により、会社の規律を作ることも可能です。

2.服務規律等を従業員に知らしめることが出来る
 毎日同じ事を従業員に注意しても、煩がられるだけ。口頭での注意は「小言」としか取られません。「また言ってるよ・・・」と
思われるだけです。就業規則により文書化し、目に見える状態にしておくことにより、同じ注意でも根拠が出来ます。
また、「百聞は一見にしかず」です。視覚を使うことは非常に効果的なんです。

3.会社としてもすべきことがハッキリしてくる。
 良くあることですが、「従業員が結婚した」「身内に不幸があった」「子供が生まれた」時など、小規模であれば尚更、「お祝い」
を渡すことにもなるでしょう。しかし、その都度「いくらにしたら良いのか」なんて悩みも出てきます。何気なく渡したのに、後に
なって、「Aさんには1万円渡したと聞いたのに、私には5千円しかくれない」等、変なところで不満を持たれてしまう可能性もあるんです。
 もちろん、功績のある方等に手厚く報いてあげたいのは分かるのですが、その時その時の気持ちではやはり不満も出てしまうでしょう。
そんな時、就業規則上に「慶弔祝い金等」といった基準を決めておけば、その基準に沿った額を渡すことで何の問題もなくなります。

4.懲戒処分等が出来る。
 これはよく誤解されているのですが、「会社に不利益を与えた=懲戒」では有りません。
「懲戒=規則に違反した罰則」です。つまり、規則が無いのに罰則は与えられないんです。この場合の規則は就業規則となります。
よくサイバー犯罪等で「法の整備が間に合わず、処罰が出来ない」事や「違法ドラッグ」問題のように、法律上での記載が無い部分での
処罰は出来ないのと同じなんです。
 ですから、「懲戒解雇」も就業規則等が有り、そこに「~な場合には懲戒解雇にする」という文章が載っていないと、出来ないんです。

等々書いてきましたが、

「それって10人以上でも同じ事でしょ?」といわれそうですね。

では、何故10人未満だからこそ必要と考えているのか。

それは・・・長くなりましたので次回と言うことで。

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