就業規則の不思議 3
さて、前回で、なぜ小規模な会社こそ就業規則が必要なのかという問いかけをして終わっていました。
今回はその答えを出したいと思います。
例を挙げて考えていきます。
Aさんという従業員がいます。とても不真面目で、サボってばかりです。
何度か口頭で注意をしましたが、全く改まりません。
ある日、ついに我慢の限界が来ました。
「おまえなんかクビだ!もう会社に来るな!」
となったとします。
何日かするとAさんから手紙が届きます。そこにはこう書かれています。
1.解雇は不当であり、慰謝料100万円を求める。
2.解雇は不当なので、今すぐ撤回するように
これで争った場合、90パーセント以上の確率で会社が負けます。
その場合、
・慰謝料
・裁判で決着がつくまでの未払い分の給与
の支払いを命じられるでしょう。
500万円くらいいくこともざらです。
しかし、仮にこの会社に就業規則がありきちんと運用されていたらどうでしょうか。
まず、Aさんには、「懲戒の規定」を当てはめて、文書等による通知がなされ、最初は減給程度、そして出勤停止。それでも改まらない場合には、最終的に「懲戒解雇」ということになります。
きちんと運用されていれば、これで負ける確率は25~30パーセントにまで減ります。
大企業の場合、500万円くらいの支払いで決着がつくのであれば、何の問題もないでしょう。しかし、小規模な会社の場合どうでしょう?かなり痛い出費ですよね。
また、今回の件もまず、「何をしたらいけないのか」という基準がなければ、罰することも出来ませんので、当然解雇は不当なものとされてしまいいます。その基準を作るのが就業規則な訳です。